選択肢

 嘗てコンビニを経営していた人に、ずっと持ち続けていた疑問をぶつけてみた。その人はもう引退しているから若干踏み込んだ質問にも答えてくれるだろうと思ったのだ。ニュースなどで時々報道されるコンビニ強盗、ほとんどが深夜に実行されていると思うが、それに対して恐怖心はなかったのかってことだ。僕だったら一番に身の安全を考えその時点で、コンビニ経営は選択肢からはずれると思うのだが、敢えてその道を選んだ、選べた理由が知りたかった。 「夜仕事をしていて、恐ろしくなかったの?」と尋ねるとやはりそれなりに怖さはあったみたいで「従業員にもしものことがあったら大変ですからねえ」と奥さんが答えた。これは立派な答えだなあと感心した。人を使うって事はここまで責任を負うと言うことなのかと、素人の僕はひたすら感心した。また、牛窓が半島になっていて、通り抜けできないから同じ道を帰ってこなければならないことは、強盗の心理にとって、かなり思いとどまらせる要因になるらしい。通り抜けれる町の方が彼らには都合がいいのだ。又警察と近いと言うことも安心材料になっていたらしい。近いと言っても1kmくらい離れていると思うのだが、1kmはその筋の人にとっては「近く」なのだそうだ。  さすがにその筋の情報はよく知っていた。僕など全く疎くてひたすら恐ろしいだろうなと推測していただけだ。彼らはそれなりに勉強してリスクを少なくしているのだ。又セコムは駆けつけるのが遅いからあてにならないよとも教えてくれたのだが、天然のセコムをしてくれていたクリが去年死んだので、今は本物のセコムをあてにするしかない。片手で抱けて、誰にでもついていくミニチュアダックスではどう見てもセコムできそうにはない。 危険を上回る収入が得られるからコンビニ経営をしていたのだろうが、感想は苦労しましただった。スタッフ集めや人材教育などが大変だっららしい。まだ若い経営者だから、体力以外の理由で止めたのだろうが、命があっただけでましなどとブラックユーモアがおちではやはり最初から選択肢には入れれない。