照準

 ある会合で、近所の歯医者さんが母親達に向かって「事件を起こして新聞に載らなければいいと同じ歯科医同志で話すんです」としみじみと語っていた。何となく僕も聞いていて頷いてしまった。子育て現役世代にはまるで間が抜けたような話かもしれないが、終わった僕らからすれば、力みが抜けて正直な感慨にしか聞こえない。 これ以上の倹約を出来ない人が、倹約を知らない人と同じ道は歩けない。舗装された道をハズレた人は血豆を作ってつま先立つしかないのだ。そして、そこのけそこのけの輩に弾き飛ばされる。そして最後に残されたもの、お金か、物か、家族か、希望を使い果たした時に新聞に載る。  至れり尽くせりの公約が花盛りだ。生まれてから15歳くらいまでは、毎月ボーナスをもらうような感じだろう。高給をもらっているような人だと、ベンツでも買わないと支給されるお金が余ってしまう。子沢山だと、一軒家を買うくらいのお金をもらうことになる。恩恵にあずかれないから言うのではないが、やはり所得がある人は除外した方がいい。救うべき人に照準を合わすべきで、いたずらにばらまくのは、国の借金ばかりを増やす。又精神的にも、使い道を考えないと使えないようなお金が入ることは良くない。  爆薬も工場で爆発すればただの危険物。夜空を彩れば打ち上げ花火。さあ、照準を合わせて点火して。