クラゲ

 今朝起きて一番にインターネットでクラゲについて検索した。海辺で育ったから今更クラゲでもあるまいが、新聞に加茂水族館のことが出ていて、その中の記事に目が止まったからだ。クラゲには脳も心臓も無いという内容だ。 盆が過ぎても地元の子は海水浴場で泳いでいた。観光客がいなくなった広い浜辺を数人で独占して泳ぐのは気持ちよかった。水は驚くほど澄んで魚が泳ぐのが水面越しに見とおせた。ところがその頃からクラゲが一斉に海水浴場を占拠する。海の子は、自由に泳ぐことが出来たから、クラゲを見つけるとクラゲの下を潜ったりして接触するようなことはなかった。おかげで刺されるようなことはなかったが、いつも気を使わなければならないやっかいな存在ではあった。 あのやっかいな奴らに脳と心臓が無いだなんて。棒きれを拾ってクラゲをすくい、砂浜に干して退治していたのは何だったのか。インターネット上に出てくるクラゲについての情報は難しすぎて、ますます分からなくなったが、何のために存在しているのだろうと根元的な疑問が湧いてくる。本能すらないものが、何のために餌を捕獲したりするのだろう。 古代、どの様にして、何のために存在を始めたのだろう。何の役割を担って生きているのだろう。何をもって生物というのだろう。幼い頃の情景が美しく思い出される裏で、頭が混乱する。そんなこと知らなければ良かった。何にでも目的や意義を求めたがるいつものお節介が、そろそろお荷物気味の僕の脳と心臓を悩ませる。