特権

 最近は、僕の所に直接薬を取りに来れる人もブログを読んでいる場合があるみたいで、僕の体調を今日もある女性に気遣ってもらった。便器を抱えて貧血を起こし冷や汗を流している状態を「わかる、わかる」と共感してくれた。まるで立場が逆転している。僕の方が分かってあげないといけないのに。毎週会える子だからもうお互い理解し合えていると思うが、僕もここまでメッキがはげると遠慮もない。今日はやっと立てるような腰の状態で応対した。これでは笑顔も引きつる。彼女の方が余程いい笑顔をしていた。まあ、若い彼女だからいずれ全ての点に於いて僕より秀でなければならない。登り坂と下り坂だからすぐに逆転するだろう。  遠くから訪ねて来てくれ実際に会った人も沢山いるので、もう福山雅治似とは言えなくなった。そんなことを言ったら、ファンに怒られそうだ。棒のようにキッポの姿勢でおそるおそる歩く福山雅治はいないだろう。2日と続けて元気なことなど無い。必ずどこかが痛くて、どこかが重い。体が重くない日は心が重く、身体が痛くない日は心が痛い。今日もいつ2階に上がって横になろうかと思いながら何とか仕事をしていた。ところがある瞬間、急に最悪の状態から抜け出たと感じた。それは夫婦で2回目に来てくれた人の応対を始めた時だ。脊椎管狭窄症とパーキンソンを併発していて、歩きにくいし、おならとウンチが区別できないと言う相談を2週間前に受けて煎じ薬を作った人だ。そのご主人が、ウンチが出ないようにおならが出来るようになったととても喜んでくれたのだ。その喜びを夫婦で報告してくれたとき、何かスーッと痛みが和らぐのを感じた。2人の喜びが僕に伝わってきて、とても良い気が僕の体の中を巡ったのだと思う。気が巡った瞬間、血流が改善し、虚血状態から解放されたのだと思う。ここでも僕は患者さんから良い気をもらっている。僕が与える立場なのに。  いつも健康でいたいけれど、それは僕にとっては至難の業。何とかごまかして日常生活が大きく阻害されないところで妥協しようと思っている。幸せすぎないから、健康すぎないから役に立てることもある。類が類を呼べばいいではないか。ただし、僕と縁が切れたらやはり幸せすぎるほど、健康すぎるほどの所を目指して欲しい。若者の特権をみすみす放棄しないで欲しい。