本当は26.5cm

 今日、山の上のパン屋さんが2人で訪ねてきてくれて、靴?スリッパ?をくれた。数日前僕の足のサイズを尋ねられたので適当に答えていたが、履き物をくれるなら正式に測っていれば良かった。(足占いをしてあげるとごまかされていた)でも、少し大きめかと思うけれど、くれた理由がとても有り難かったので感謝あるのみ。誰経由で知ってくれたのか分からないが、僕が腰と首に弱点をもっていることを心配してくれて、わざわざ買ってくれたらしい。最近テレビで子供のスリッパがエレベーターに挟まる事故が報道されたけれど、あの種のスリッパのように見えた。立ち仕事が多い病院でも使われているらしく、二人が今まで履いた物の中では特段お勧めらしい。  早速履いて仕事をしてみたが、特別何か優れているようには感じなかった。ただ、仕事が終わってから以前のスリッパに履き替えたら、その硬さに気が付いた。今までそれこそ何十年も靴もスリッパも堅いものと思っていたから、堅くないもののほうが違和感があったが、僅か数時間で、感覚が全く逆転した。人間の主観なんてたいしたこともないし、拘る必要もない。所詮この程度なんだから。  閉店間際に、ある女性と話をしていた。別に見せびらかすつもりはなかったのだが、その女性に向かって、足を投げ出すような格好で話していたのでいやでも目に付いたのだろう。彼女が、どうしたのと尋ねてるから経緯を話すと、だいぶ前から流行っていると教えてくれた。そうか、流行の先端を足下だけでも行っていると思ったのに、またしても流行から後れた。  家族でも気を付けてくれないようなことを、 山の上のパン屋さんが気遣ってくれ、家族でも気が付かないような僕の変身ぶりを、居合わせた女性が気付いてくれる。それでいいのだ、誰もが緩やかな想いで繋がる。平和とは、難しくも何ともない。争わないこと、それだけだ。