いくつもの判断ミスを重ねた。数えればきりもないし、今回の不調の原因がいつからかも定かではない。4日間、何も出来ずにただ横たわっているだけだった。一杯の後悔が次から次と悪夢のようにおそってきた。まどろみの中で憂鬱な夢ばっかり見ていた。  その中で一つだけ鮮明に覚えている夢がある。ある砂浜を通りかかった時、大きな波が海岸に打ち寄せていて、3人のシスターが服のまま沖へ向かっていた。打ち寄せる波は遙か背丈より高く、波にさらわれるのは必定だった。シスター達は沖に流された子供達を救うために危険を顧みず沖に向かっていたのだ。おがでは大人の女性が数人叫んでいた。僕はとっさに、シスター達をおがに連れ戻した。最初抵抗していたシスター達が説得を聞き入れてくれて、海から出てくれたのだ。ほっとすると女性達から拍手が起こった。僕は善行をした気になって満足していた。  ところが波の向こうでおぼれている子供がいるはずだ。僕はそれに気がついたが何もしなかった。罪悪感はなく、いい気になっている場合ではないとほんの少々自重しただけなのだ。夢は嘘をつくのか。嘘であって欲しいと目が覚めてから思ったが、本当の僕を投影しているような気がしてならない。危険を全くおかさず手柄でも何でもないことを喜んでいるのが、夢の中の本当の僕なのだ。潜在意識を夢という銀幕に映し出したからには、出演している僕は僕そのものに違いない。なさけないものだ。うなされるならまだしも、喜んでいるなんて・・・