朝食

コンビニの駐車場で、夫婦らしき若いカップルが、車止めに腰を下ろし壁に向かってカップヌードルらしきを食べている。幼い子供がその傍で走りまわっている。日曜日の朝8時、その家族にとってそれが朝食なのだろう。その夫婦の物らしき車があったが、みすぼらしくもない。不幸な光景ではない。でも、幸せを予想させる光景でもない。どちらかと言えば目をそらせたくなった。親を選べぬから子は生まれた時から平等ではない。食育なんて耳にしたこともないだろう。あの車を売って、まともな食事を選択できないのだろうかと思った。米に、味噌汁、小魚少々。日本人なんてそんな物でいい。  「米はナンキン、おかずはきな粉、牛や馬でもあるまいし、朝から晩までこき使われて、死ぬよりましだとあきらめる。あきらめなされよ、あきらめなされ、あきらめなさるが無事であろう、こんな浮世に生まれてきたが、わが身の不運とあきらめる」学生時代良く口づさんでいた。なにも持たない僕の人生で一番豊な時代だった。今は持ちすぎて、心までもが不自由になってしまった。