讃岐国分寺太鼓保存会

 この時期高松で行われる和太鼓の演奏会は「 鼓展」と言うタイトルで行われ、讃岐国分寺太鼓保存会単独の舞台だ。その舞台を知ってからもう何年も皆勤中の僕だ。よその市町村のことでまったく知識が無いから、どうして  毎回讃岐国分寺太鼓保存会か分からなかった。後援?する高松市との関係が分からなかった。和太鼓の盛んな香川県で一つの団体が続ける理由がわからなかった。平たく言えばもっとうまい団体はいくつかある。
 ところが今年の舞台を見て、この数年間の疑問が解けたような気がした。その理由は二つある。
 一つ目の理由は、小学生中学生の演者の数がとても多く、幼いにもかかわらずとても訓練されていて、十分聴き応えのある演奏だったてこと。大人と合わせた数で会員が50人いるらしい。次の世代を育てるのに成功している数少ない団体ではないだろうか。岡山県内を含めて多くの和太鼓の演奏会に出かけるが、いつの間にか舞台で太鼓を叩く人の数が減って貧相になっている団体をいくつも見ている。そのつど寂しさを禁じえないが、讃岐国分寺太鼓保存会は明らかに増えている。市が後援するのも当然だ。青少年の健全育成の期待を背負って活動していると思うが十分期待にこたえている。舞台に立つ中年期の世代の人たちの努力の賜物だろう。恐らくご自分達が背中で示した生き方を子供たちは見ているのだろう。
 二つ目の理由は、若者達がめっきり力をつけたことだ。なんとなくおとなしい演奏が多くて僕みたいな和太鼓お宅にはいまいち訴えるものが少なかったのだが、今年は違った。明らかに腕が上がっていたし、その上がり様が幾段も一気に跳ね上がったくらいだった。それは百花の乱と言う曲だった。若い男性ばかりだったが、すごい迫力とテクニックで、それこそどこに出しても恥ずかしくも無いと言うより、聴衆をどこの会場でも圧倒しそうな演奏だった。曲そのものも良いし、演奏もすばらしかった。その日初めて自然発生的な拍手が何度も沸き起こった。それと最後の曲(石響)今まで何度も聴いているが印象に残っていたのはサヌカイトの優しい音色だけで、太鼓の記憶は無かった。ところが今回はその太鼓の迫力がすごかった。演者が例年と入れ替わったのかと思わせるくらい迫力があって心臓に痛いくらい伝わってきた。そこでも拍手が何度も自然発生的に起こった。
 どんどん力をつけてきた若者達に支えられ讃岐国分寺太鼓保存会は大きく飛躍した。僕が勝手にイメージしている香川県の太鼓の勢力分布が変わりそうだ。