悪臭

 勿論目の前で、或いは受話器の前で涙を流したりはしない。ヤマト薬局の特徴である「まるで冗談のように」治すことを目的としているから、楽しく又面白く時間は過ぎていく。しかし、全てやるべきことが終わって、さよならした後には、深い悲しみに襲われることがある。場合によっては思わず貰い泣きしそうになる。
 多くの人が同じようなことになり、同じように苦痛を味わうならまだ耐えられるが、どうしてこのような人たちだけがこんな苦しみを背負うのだろうと、世の理不尽を恨みたくなる。ブラウン管の向こうでは、大嘘つきの、顔が浮腫んだ男が、国の金や人材を我が物顔に使い、悪の限りを尽くしているというのに、ブラウン管のこちらでは傷つきやすい人たちが痩せ細っていく。お金や健康だけではなく、心までやせ細る。悲しいことに、声をあげ訴えることを知らないから、ますます落ちていく。
 今や、建前さえ口に出せない汚泥が町を埋めようとしている。アホノミクスと言う戦後最大の汚物が悪臭を放つ。最早嵐が来て洗い流すしかきれいにはなれない。