連発

 アクセントは「ら」のところに置く。それで発音すると牛窓弁か岡山弁か分からないが、分かりませんのことだ。これを最近覚えたのか、ギャグのように聞こえるのか、やたらかの国の女性達が使う。外国人は共通語を勉強するから総じて言葉がきれいだ。まして通訳として来日し、日本語の検定試験で1級を受験する女性など、下手な日本人より数段日本語に精通している。漢字もかなり書けるから、無学な日本人より遥かに知的だ。又それ以外の女性達も、片言の日本語を喋るが、それでも共通語だ。  通訳もそれ以外の女性達も最近になって連発する。ただその言葉だけが方言だから、とても印象深く聞こえる。そして何よりも聞いていてかわいいというか面白い。素朴ななりや性格とちょっとだけ相容れない語感が何ともこっけいな取り合わせで、それこそ可愛く聞こえる。車を北に向かって走らせた先週の日曜日も、後部座席で時々突然にその言葉が飛び出す。僕は何ともいえない柔らかな言い方に癒されながら、長距離を走った。  「わからん」