心境

 こんな屈辱にあって、あの県の人達はどの様な心境なのだろう。  ハッキリとした数字は覚えていないが、30万人近い青少年の甲状腺を調べて、癌の人が50人くらい。強い疑い、だからほとんど癌だと思うが、の人が40人くらいいるらしい。それなのに原発とは関係ないというのだから、そう言っている人間をハッキリと記録し、どの様に将来責任をとらせるかシミュレーションしておいた方がいい。何百万人も殺した戦争でも、責任を逃れた人間はいる。同じ轍を踏まないことだ。  小児甲状腺癌の発生割合は50万人から100万人あたり1人というのが定説だ。それを彼らも知っているくせに、良くものうのうと原発とは関係ないなどと言えるものだ。言っている人間にも家族がいるはずなのに、家族はなにも言わないのだろうか。家族、あるいはもっと拡げて、一族で県民や国民を傷つけ裏切り続けるのだろうか。  マスコミは僕らより遙かに情報を持っているはずなのに、相も変わらず広告主の顔色ばかり伺っている。甲状腺癌についても新聞の片隅に、公表された数字をそのまま載せているだけだ。何らコメントもない情けない話だ。  日常から放射能の話は消えた。ここからが勝負だと僕は興味を持っている人には言うことにしている。いつまでも拘って身を守り続ける人と、見えない、匂わない、味がしないに麻痺して警戒を解いた人達の差は近い将来歴然と出てくると思う。だからいつまでも警戒して、東の方のものは食べない、行かないを愚直に続けていこうと思っている。  溢れんばかりの富を手にしている人間達の欲望を、溢れんばかりの苦痛を抱えている人間が支えているのがこの国の現実だ。あんな事が起こっても未だ奴隷のように振る舞っている。