冬の間、一応改まった所、と言っても僕には漢方の勉強会くらいしかないが、に行く時に着る服が一着だけある。すこぶる地味な色(ネズミ色)で、素材の単語を全く知らないから表現に困るのだが、結構分厚くて重たい布地の服だ。前はチャックで合わすのだが、もう記憶にないくらい前からチャックが壊れていて、戸外では寒くて毎冬困っている。一見だらしなく見えるが、実は本当にだらしないのだが、合わそうにも前が合わないのだ。だから戸外ではチャックの代わりに両手で服を前で合わすようにする。 どうやらこの冬は温かく過ごせそうだ。息子に何か冬物でいらなくなったものはない?と尋ねると二つくれた。一つは布地のもので、もう一つはツルツルの素材の服だ。どちらも前でチャックで合わすように出来ているが、壊れていない。だから戸外でも僕の両手は解放されることになる。どちらも結構きれいだから「悪いな」と言うと、実は買ってからあまり袖を通していないらしい。そう言えば何となく若者には地味だ。元々派手なものを着たのを見たことがないから不自然ではないが、寧ろ僕世代にあっているように見える。 着てみるとまずまず着られる。180cmを越える彼の服が少し僕には窮屈のように感じたが、入らないことはない。と言うことは胴体は同じくらいの長さで、足の長さが違うってことか。まあひがみはその辺りにして妻が「長いこと着たね。○○が高校生の時に着ていた服だもんね」と言った。僕は知らなかったが、捨てようと決心した服は息子が高校生の時に母親に買ってもらったものらしい。となると、僕が異常に若いのか、息子が異常に老けているのか。それが問題だ。