取り越し苦労

 どう考えてもおかしい。僕がインターネットを覗くとしばしば薬剤師の求人の広告が出てくる。表紙にどばっと出てくることもあるし、何かの記事を読んだ後に続いて広告欄があったりする。機械音痴の僕だが、何となく出来過ぎのように感じる。僕の職業がインターネットの会社(ヤフー?)に特定されているかのような気がする。ディスプレーの前でいつも白衣を着てキーボードを叩いている姿がインターネットの会社に届いているのではないかと思われるほどだ。  コンピューターの世界だから何でも出来るのだろうか。例えば僕は職業的に病気や薬に関して検索することが多い。メールも製薬会社や薬剤師会からのものが多い。こうした状況を分析して僕が薬関係の人間と言う予測をコンピューターがするのだろうか。もしそうならコンピューターに日々探偵されているようなものだ。数式の極みに探偵されるのだから陰湿さはないが、それでも情報が集まるところに集まりすぎるのは気持ちが悪い。  ただこの危惧は、機械音痴の単なる言いがかりですんで欲しい。薬剤師だから偶然画面に表示される、何ら意図されていない薬関係の情報に目がいくのは当然で、単に目に付くだけのことかもしれない。そうして客観的に観てみると、他の職業、医師や看護師の求人も結構目に付く。いやいやそんなことで妥協してはいけない。薬剤師という縛りでなく、医療関係者という枠で探偵してきているのか・・・・考えれば考えるほど怪しくなってくる。言いがかりを恥じるより、もっと怪しくなってきた。  これではらちがあかない。この世界に精通した人にいつか尋ねて、スッキリしたい。隠しカメラを意識するようなことはしたくない。パソコンに向かってカメラ目線でもあるまいし、とんでもないことを心配しなければならない時代になったものだ。同じ取り越し苦労なら、もっと他のことでしたいものだ。