津波

 日本で看護師として働くために来日している外国の方が沢山いる。すでに実際に業務に就いているのだが、正式な日本の免許を取るために、仕事の傍ら勉強をしている。ところがこれがめっぽう難しいらしくて、と言うのは試験問題が日本語で実施されるからなのだが、これが巷言われた日本語の習得が難しいということのほかに、自国で受けた看護師の仕事以外の介護という分野が日本では試験に含まれているかららしい。最大の障壁が日本語と言われていたから、ある模擬試験を英語で受けてもらったそうだが、合格率はおよそ25%だったらしい。これでは日本語の試験での結果が容易に想像できる。恐らく惨憺たるものだろう。果たして、本当に看護師さんを増やしたいのか、はたまた得意の研修生で上手く使いたいのか疑問だ。 僕は実際に行われた試験を受けた外国の女性二人を知っている。簡単な会話なら日本語で出来る二人だが「難しかった」を連発していた。自嘲気味に「日本語ガタガタ」と言っていたが、彼女らの天性の明るさとバイタリティーは貴重だ。どうかハンディーなく資格が取れるようにして欲しい。3月の下旬に結果が発表されるらしいが、喜び合えたら嬉しい。言葉と内容の二重苦で頑張っている彼女らに、何らかの制度で報いることが出来ないのかと、素人ながらに思う。 今し方、けたたましく防災サイレンが数回鳴った。高台に避難してくださいと勧告があった。恐らく誰も避難しないだろう。50cmから1mでは逃げないだろう。まして干潮時刻だし。この国のあり方や、この国の人の心のあり方に対してもサイレンは鳴らされているが、ほとんどの人は無視している。潮は静かに引いて一気に押し寄せる体制は出来ているかもしれないのに。