意外と充実していることに驚いた。何度も門のところまで行った事はあるのだけれど、お金を払ってまで庭を見る必要は無いと思い、ガラス戸越しに眺めていただけだ。今日、かの国の女性達4人を連れて深山公園の紅葉を見に行ったのだが、NHKテレビやインターネットで見ごろと出ていたのがまるで嘘だった。あれだったら「色づき始め」が正しいだろう。皮肉にも町中の街路樹のほうが鮮やかな紅葉だった。  このままでは日本の紅葉に胸を膨らませて一緒に行った4人が失望すると思ったので、いわば苦肉の策でイギリス庭園の門をくぐった。ところがこの選択が大正解だった。期待していなかった分、規模といい整備のされようといい、そもそもの設計といい、感動ものだった。詳細は避けるが、外からでは想像できなかったくらい広かったし、石造や噴水、或いは錦鯉が泳ぐ池など、演出しすぎていないのが良かった。イギリス庭園と言う名前が、何を持ってそう名づけられる資格を得るのか分からないが、何となく手を掛けすぎていないような自然な感じがいいのかもしれない。僕は自信ありげに案内したのだけれど、内心はここで留めを刺されるのではないかと心配だった。  ところが、彼女たちは、足を一歩踏み入れたところで既に感動してくれて、秋空の下結構ひんやりしているのに、上着を脱いで、半そで姿になって写真を撮り捲った。あっけにとられながらも、起死回生の逆転ホームランを打てたことを悟った。例のごとく毎回毎回、4人がモデルの様にポーズを取り写真を撮るだけで2時間くらい留まったから。  うれしいことに深山公園のイギリス庭園の入場料は大人で200円なのだ。大の大人が2時間近く癒されて200円とは、どうみても公の施設でしかありえない。老後の資金に手をつけてしまって僕には言う資格もないのだが、かの国の寮の為に買った古民家付きの土地が400坪近くあるから、こんな庭を作って皆さんに提供できたらいいなと思った。ない袖は振れないが、せめて将来を楽しむネタの一つくらいは持っても良かろう。