遠藤賢司

 「カレーライス」などのヒット曲で知られ、昨年6月にがんと闘病していることを公表したシンガー・ソングライター遠藤賢司(70)が東京都内の病院で昏睡状態に陥っていることが24日、分かった。

胃がんで闘病中だったシンガー・ソングライター遠藤賢司さんが、25日早朝都内の病院で亡くなった。70歳だった。同日、遠藤さんの公式サイトで訃報が伝えられた。遠藤さんは10月19日に大阪で開催予定だったライブを体調不良で中止し、振替公演の実施を目指していたが復帰はかなわなかった。

 インターネットのニュースで同じ日に昏睡と死亡の両方を見た。タイム差は10時間くらいはあっただろうか。僕ら世代の人間は、その記事にすぐ目が止まったに違いないが、他の世代の人にとっては縁遠いと思う。僕ら世代にとっては印象がかなり強い人で、当時あのレベルのギターテクニックを駆使してフォークソングを歌える人は少なかった。今でこそユーチューブなどでテクニックを盗めるが、当時はもう神業にしか見えなかった。印象に残っている曲はカレーライスくらいなものだが、とにかくニヒルで格好良かった。  加川良に次いでの死だ。高田渉に次いでの死だ。僕らが愛した人たちが次々に死んでいく。ほんの少しだけ上の世代だ。格好良く音楽をやっていた憧れの人たちだ。当時フォークソングは若いときだけのものと思っていたが、多くの有名な歌手が70歳まで現役でやっている。当時誰がそんなことを想像しただろう。歌だけでなく、歳をとればどの分野の人でも引退すると思っていた。その歳と言うのが定年の55歳くらいだったと思う。当時の僕も55歳くらいで薬局をやめると本気で思っていたのだから、歌手の人たちはなおさらだろう。  今は、人口が逆ピラミッドだから、下から押し上げられるようなパワーがない。むしろ下の人たちは上からの圧力が強いのではないか。現在はピラミッドの上位あたり、すなわち年寄りが暮らしやすいのではないか。下からの圧力がないのだから自由だ。歌手の世界でもすばらしい歌を作れる若者がいないから、年寄りの歌手でも重宝される。  田舎に行っても都会に行っても目立つのは年寄りばかり。僕ら世代にはとても暮らしやすいが、一方で若者の保守化が進んでいると言う。昼夜逆転では時計の針も進めない。