劣化

 処方箋を持って来る人を法的に選別することは許されないから、来たものは拒まずだ。ところが招かれざる客は結構いて、楽しく働いているのに水を差す。もともと、来たい人だけ来る薬局を標榜し、ほぼそれが実現していたのに、2年前の市民病院分館の期限付き処方箋調剤の依頼以降、その原則が崩れた。  どの職業でも同じだろうが、礼儀知らず、恩知らず、感謝知らず、礼言わず、謝れない、揚げ足取り・・・などの素質を備えた人間はなかなか受け入れられない。そんな人間と交わることで、こちらの生活の質が劣化する。僕は、自分の仕事の質やモチベーションを維持するために、そんな輩と迎合しない。来てほしくない人には徹底的にそのそぶりを見せる。切れて反撃することもしばしばだ。その切れる時間が歳とともに早くなって、今日など10秒も持たず反撃した。ただ僕はそんな輩の処方箋調剤の収入を必要としていないし、スタッフ全員の日々の心地よさを何とか確保しないといけないから妥協はしない。  国の誘導で、昔ながらの薬局のままでは経営が成り立たなくなった。兵糧攻めのようなものだが、さすがに国も医療保険に群がる業種によい顔が出来なくなって、昔ながらの何でも相談できる薬局を作ろうとしている。でもそんなものに流されずに仕事はしたい。心から役に立ちたい人、笑顔を取り戻して欲しい人、黙っていても人に大切にされる人、そんな人であふれる薬局にしたいと思っている。