美しいもの

 美しいもの。それは、頂きに雪が残る高山か、鳥がさえずる麓の森か。流れを急ぐ清流か。鯨が潮を吹く海洋か。無数の星が輝く天空か。  大鷲が滑空する。野生の馬が群れをなして駆ける。鹿が跳ねて熊が2本足で立つ。この世は美しいものばかり。地球は美しい星だ、美しいもので溢れている。  ところがこの地球で唯一美しくないものがいる。それは人間だ。今世界中で溢れている醜いものは全部人間の中から出てきている。どこかで爆弾は降っていないか。どこかで飢えた子供が息を引き取らなかったか。どこかで黒い灰が降っては来ないか。どこかで地球に戻らないものが捨てられてはいないか。どこかで種を絶やさなかったか。  責任は人間が取らなければならない。この地球に唯一害なのは人間なのだ。人間の欲望が美しさを壊した。人間にどんな断罪が下るのか知らない。ただその時はもてざる者達にぜひ慈悲の心を。持っているものが小さい分壊したものも小さいはずだから。