介護

 この数字を見たらあきらめもつく。取り立てて元気ではなかったから、残りの数字に入ろうというのがおこがましいのかもしれない。こうなれば後は如何に衰えていく線をなだらかにするかだ。 東京大学の調査で分かったことなのだが、足腰の骨や筋肉が衰えて、将来介護が必要になる運動器の障害を抱えている人は、50歳代で67%だそうだ。主に変形性膝関節炎、変形性腰椎症、骨粗鬆症らしいが僕は2番目をもっているし、首も同じようなものだ。バレーボールのし過ぎと自分では理解していたが、恐らく単純に老化なのだろう。バレーをしていたから早めたのか遅くなったのか分からないが、7割の人がその範疇にはいるのだから、僕が入らないことの方が不自然だ。何せ太陽が出ている時間は全て薬局の中で過ごし、太陽にほとんど当たってこなかったのだから骨はスカスカだろう。重い物をもったり走ったりしなかったので足の筋肉も衰えるばかりだ。懸垂が出来なかったという衝撃の事実以来、多くの人に声を掛けてみるが、同年輩の人達の中で出来ると答える人はいない。知らない間に衰えていたことに偶然自分が気がついていなかっただけなのだ。若い人と同じようにコートの中で楽しんでいたから、不覚にも気がつかなかっただけなのだ。  そうして世の中を見回すととても面白い。懸垂の一つも出来ないような人間達が、国にしたって会社にしたってリードしているのだ。腕力だけの世代よりはましなのかもしれないが、なかなか老体にむち打っている姿は、欲の権化にしたって醜いものだ。マスコミを狡猾に利用する威勢の良い輩も「懸垂1回」の試験を課すと面白い。