ヘッドホ-ンに溢れるベートーベンは 折りたたんだ傘から落ちる涙だ ガラス越しに行き交う人々 見知らぬ存在の行列 街はうなだれて 錆びた時計台が徘徊する 空になった貯金箱に 僕の命を落とす

明かに欠落した 展開のない風景 呼びとめる術もないし 失語の恐怖にも怯える 街はうなだれて 曇天の空を引き摺り落とし 腐敗した秩序が 歩道を占拠する

ひき返せない 退路なき自尊の終着 ヘッドホーン1つに守られた 果てのない孤独 街はうなだれて 湿気をはらみ横たわるが 僕の悲鳴に気付く信号機もない