刃物のような心

星降る夜に 裏戸を開けて 小さな声を届けよう 色彩を押し殺した山の端の もっともっと遠く 孤独にさいなまれ 夜を友達にしている 刃物のような心の 落とし主に

沈黙を 破るほどの 度胸もないが 獣道を偲ぶ言霊のように 山を越える 春は朽ちても届けよう 友情の囁きを 刃物のような心の 落とし主に

苦しまないで 苦しめないで 夜は夜の中でしか夜になれないのだから 枯れたまま立つ草木の寝息が届くか 刃物のような心の 落とし主に