検定試験

 明日は、東南アジアから働きに来ている女性が、日本語検定試験の1級を受ける。求められるのは日本で生活するのに困らないと言うレベルだから、かなり難しい。勉強が苦手な日本人の高校生だったら絶対に合格しない。いやいや大学生でも難しいかもしれない。教えている僕がたじたじになることもしばしばあったから。おかげで僕も日本語の勉強が少しできた。久しぶりに辞書も引いた。  試験日が迫ってから、国にいるお母さんが心臓の手術をしなければならないと言う悲しい知らせが届いて、勉強に身が入りにくかったという不運はあるが、それを乗り越えて最後の追い込みをした彼女に、よい結果が持たらされることを祈る。彼女の試験時間にまさに僕は祈りの場にいるから、願いを聞き入れて貰うようにお祈りする。もう僕に残された協力できることはそれだけだ。  頑張る人、努力している人は美しい。つくりではなく、全身から醸し出される雰囲気がとても魅力的だ。何にも勝る魅力だ。幸運にも多くの青年のその姿を見ることができた。ハンディーを持ちながら懸命に生活していこうとしている人は美しい。華やかな衣装や雄弁さは身につけていないが、どんな有名な絵描きや作曲家や作詞家が集まって作り出した作品でも、懸命に生きている人のたった一つの仕草にはおよびもしないだろう。一人一人がとても大切な存在だ。誇りを持って自分自身を大切にして欲しい。