熟睡

 中国、広州市にある広東省中医院が2人の新型インフルエンザ感染者に対して西洋薬をいっさい使わず漢方薬だけで治療した結果、発熱、咳、喉の痛みなどが3日間で著しく改善したと、新華社通信などが報じた。それを又日本の新聞社が報じていた。 使われた薬が小柴胡湯で他に薬草で足湯をしたらしい。小柴胡湯というのはどちらかというと弱い解熱剤だから、日本のお医者さんが発表していた麻黄湯のほうがより効きそうだが、どちらにせよ、タミフルみたいな高額な治療を施さなくても治るってことだ。ハイリスク患者さん以外は恐れるに足りないだろう。ただし、感染したら諦めて寝るってことが全てに優先されての話だが。  新型インフルエンザの狂想曲の時に感じたのだが、感染者が必ず病院や発熱外来に行くとは限らない。中には、病気より風評を恐れて、中には経済的な理由により、中には根っからの病院嫌いにより薬局で治療しようとする人が少なからずいる。ドラッグにはさすがに行かないかもしれないが、僕のような昔からの薬局スタイルの所にはそうした人が来る可能性がある。実際、あの騒動の時にもどう見ても、風邪かインフルエンザとしか思えないような人が結構来た。発熱外来の話をすると全員が不愉快そうな顔をした。勿論、治すのはそんなに難しくないから3日分の薬を全員に出したが、知らん顔で治して知らん顔で働いていた。期待通りの行動はなかなかしないものだ。  庭を片づけていた際、何かの箱を動かしたとき蜂の巣があったらしく、手と背中何カ所か刺されたと言って男の人が入ってきた。刺されたところは充分腫れていてみるからに痛そうだったが、本人はそうでもない。何か付ける薬を頂戴と落ち着いたものだ。何時刺されたのと聞くと30分前と言うから安心して、ヤマト薬局特製の塗り薬を出した。この30分が大切なのだ。それくらい経っていれば、アレルギー反応を起こしてショック死することもない。命に関わらないなら薬局で充分手当てできる。この問診は必ずするが、中には勇猛な方がいて、何でも自分で治そうとする。田舎だから何でも自力で治してきた血を受け継いでいる人が多いのか、自立した人も多い。それもそうだろう、毎年夏には10匹以上のムカデが天井から落ちて来るという布団で熟睡している人もいるのだから。新型だろうが旧型だろうがインフルエンザごときの面々だ。