接点

 意図的なのか、偶然なのか分からないが、昼のニュースでまるで正反対の光景が連続で映し出された。 僕は今まで一度も買ったことがないから分からないのだが、福袋というものが正月には人気らしい。間違っているかもしれないが、中身は見えないが、恐らくかなりお得な内容物のものをアットランダムに買う(売る)と言うものなのだろう。その為に長い行列を作ってデパートの開店を待っている光景が映し出されていた。開店と同時に、お目当てのコーナーに駆け出す人達の姿、満足そうに大きな袋を抱えている人達の姿も報道された。  その次に紹介されたのは、公園のテントの中で歳を越した人達の姿だった。ボランティアの人達が炊き出しをしていた。公の建物を彼らに開放して欲しいと国に申し込むらしいのだ。  恐らく知らない間に街ですれ違う人達の中に、両方に位置する人がいる。同じところを歩いても、消費を楽しむ余裕のある人達と、少しでもエネルギーの消費を抑えようとしている人達がいる。幸せそうな人と、幸せがどんどん遠ざかる人達がいる。古里を捨てたのか、古里がないのか、待っている人のいない人達の生きるためのモチベーションは何で保たれるのだろう。退場ばかりを強いる社会になにを返せというのだろう。  接点は裏返しでやってくる。接点のない接点は果てしない接近だ。二つのまるで重ならない映像を見ながら、僕はそんな印象を持った。