老舗

 僕が牛窓に帰ってきたときに、よく流行っているお店がいくつかあった。半世紀前だから、全国を網羅する店はダイエー位なもので、後は県単位で展開している地域の大型店位なものだった。だから日用品の買い物はほとんど町単位で成り立っていた。隣町に出かけることも少なかったと思う。
 そんななかでも流行っている店の代表としてその衣料店はあった。僕の父の代の店主。その後を継いだ僕と同世代の2代目。その後を継いだ僕の息子と同世代の3代目。皆さん商売が好きで得意で、長年繫盛し続けていた。
 ところが今朝の新聞にそのお店の店じまいのチラシが入っていた。牛窓を全国に置き換えたら、高島屋が店じまいすると同じくらいのインパクトだ。ありえない話なのだ。
 長年支えてくれていた人達が世を去ったり老人になったりと、店に来てくださる人が減ったのだろう。車社会 ネット社会、どこにでもお金は飛んでいく。寂しいけれど時代の流れには抗えない。
 これで戦後興した商店は、今いくつ牛窓に残っているのだろう。僕の薬局を含めて、片手の指で納まりそうだ。
 こんな話をすると牛窓が廃れているように思うが、実際には規模の大きな事業者も進出しているし、時代を反映して、ヤドカリみたいなお店は沢山出来ている。もうほとんどのそうした店とは縁がなくて、どんな店がどこに出来ていて、どんな人がやっているのかさっぱり分からない。もっと分からないのは「それでやっていけるの?」と言うこと。
 今は初期投資を極端に抑えた商いが主流みたいで、空き家が多い牛窓みたいな立地が好まれるのだろうか。大きな借金をして一所懸命働き続けた僕ら世代とは全く異なり、その価値観や精神について行くのが難しい。
 最近まで休日もなく、散財することなく一所懸命働かれた牛窓の老舗の店じまいに耳をすませば聞こえてくる。「次はヤマト薬局か~」

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