本気で間違っていた。丁度あと１年間頑張って、漢方薬以外は娘夫婦に交代してもらおうと、いつ伝えようかと思っていたら、なんと節目までまだ２年だった。７５歳にもなれば、経営全般にわたって頑張るのはもうしんどいし、機器類も自由に使いこなせないから、ギアは下げるべきだ。
それにしても僕はこの１年、公の書類も含めてすべて７３歳と記入していた。会話でももちろんそうだ。公の書類でも年齢くらい間違っていても通ると言うことか。堅苦しいのは苦手なので、それはそれで歓迎するが。
もっともこの年齢になると、確かな年齢などどうでもいい。老い方の差は歴然として、５歳は若くなったり老けたりする。人は見かけによらないと言われるが、こと老け方の場合は見かけによるのであって、若く見える人は心身ともに若いし、老けて見える人は心身ともに老けている。
完全なる勘違いで１年拾ったような気も少しはしたが、肩書からの解放が１年遠のいた。何時になったら僕は、自身の才能を生かして歌って踊れる薬剤師になれるのだろう。
