廃業

 車で1時間近くかかる所から漢方薬を取りに来てくれる親子がいる。摩訶不思議な訴えをするお母さんを漢方薬で治したものだから、信頼してくださったのだろう。もう5年以上些細な相談でもやって来てくれる。
 土曜日に来られた時に、僕が結構信頼している栄養剤を買われるから、どうしたのかと思ったら、僕の薬局に来るずいぶん前からお付き合いしている薬局があり、そこで買って飲み続けていたらしい。僕も体力がない人に漢方薬とともに勧めたりして重宝しているのだが、やはり良い薬は他の薬局でも勧められるんだ。ところがなぜ僕の薬局で買うことにしたのかと言うと、そこの薬局、正確に言うとドラッグストアが廃業するらしい。僕が牛窓に帰った頃は県下で一世を風靡していた超有名ドラッグチェーンだったが、遂にこれでもって消滅するらしい。
 時代の流れだから抗うことはできないが、これで僕の薬局から小1時間で来れる範囲に昔ながらの薬局がなくなったことになる。いわゆる自分で治すことができる「軽衣料」を担う場所がなくなった。決して大企業でもなく、健康食品みたいにはったりをかますこともなく、堅実に健康増進、あるいは維持できる薬品を作り続けている小さい製薬会社の薬を扱うことができる薬局がどんどん消えて行っている。
 命を守るのは病院の仕事だが、健康増進となれば薬局の独壇場だ。強引に症状を抑え込んでも健康増進にはならない。化学薬品で自然な体を犯して元気にはなれないだろう。そういった時には天然由来の医薬品に限る。それを扱うことができるのはやはり昔ながらの薬局だ。
 普通の薬局が減っていくと言うことは、健康増進のための天然薬を作る製薬会社に影響し、そこで作られる製品も消えていくと言うことだ。より強い人間がこの世を謳歌するように、より大きな企業が残り、最大公約数のような誰でも飲めるつまらない薬ばかり作る。
 政治やスポーツと同じように、僕は日の目を見ない輝く薬好きだ。

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