積雪

 このところ岡山県でも全国ニュースになるほど雪が降っている。幸い牛窓町は瀬戸内海に面しているから、10年に一度も積もったりしない。ただ、今年の冬はかなりの寒波がやってきたらしくて、隣の備前市では10時間以上の交通渋滞が起こり、全国ニュースで取り上げられていた。まさかこんな近くで雪のために渋滞?と、にわかには信じられなかった。それだけ雪に対しては無防備なのだろう。
 今朝、「犬あっち行けい」のニュースを見ていて、あるところからの大雪の状況をレポーターが伝えていた。その中で「積雪の深さが60cm」と伝えていた。雪の経験がほとんどない地域の人間なら、プロの表現を素直に受け入れればいいのに、何か違和感があった。深さと言う言葉がなぜか素通りしなかったのだ。温暖な地域の人間にとって積雪を表現するのは「高さ」だったからだ。「積雪が60㎝の高さ」と報告されていたら、なにも引っかからなくて頭に残ることはなかっただろうに「なぜ深さ?」になってしまった。「雪深い」と表現されるから、正しいのだろうが、温暖地域の人間にとっては、雪は高く積もるものなのだ。だから深さではなく高さなのだ。
 ここからは僕の想像だが、北国の方々にとっては、恐らく積もった深さこそが興味の対象なのだ。雪解け水に貢献してくれるのか、あるいは落ちて危険なのかわからないが、雪の評価は良しあしにつけ深さなのだろう。レポータが使ったたった一つの言葉に、色々思いを寄せてみた。
 僕の勝手な考えが当たっていたら、いやいやあたっていなくてとんでもないこじつけにしても、色々と頭の中で遊ぶことが出来た。

 

「三浦瑠麗」という虚像は需要と人選ミスが生んだ…最初からいかがわしかった(適菜収)
国際政治学者を自称する三浦瑠麗とは一体何だったのか。太陽光発電事業への出資を名目に、およそ10億円をだまし取ったとして投資会社「トライベイキャピタル」本社と代表を務める瑠麗の夫の自宅マンションが東京地検特捜部により家宅捜索されたが、それをきっかけに瑠麗の過去の言動に注目が集まった。
瑠麗は「私としてはまったく夫の会社経営には関与しておらず、一切知り得ないことではございますが、捜査に全面的に協力する所存です」と関与を否定。もちろん夫が引き起こした事件と配偶者は関係ない。そういう意味では、瑠麗は巻き添えを食ったかのようにも見える。
しかし、次第に実態が明らかになっていく。瑠麗が経営する会社と夫の会社は同じビルの同じフロアにあり、両社は合同で行事を開催することもあった。さらに瑠麗は、政府の「成長戦略会議」やテレビ番組などで、太陽光発電事業を“猛プッシュ”していた。これによりネットでは夫のビジネスの「広告塔」だったのではないかと疑う声が増えていった。
第2次安倍政権後に表舞台に出てきた瑠麗は最初からいかがわしかった。薄着姿で意味不明なことを言い、世の中をけむに巻く。
「お父さんがパチンコとか競馬でお金をスッたり、家庭内暴力で殴ったり、飲酒におぼれたり、どれも合法なんです。合法な活動で家庭が崩壊するケースはいっぱいあるのに、なぜ宗教法人(だと問題に)になるか、これは政局だからです」とあさっての方向から統一教会(現・世界平和統一家庭連合)を擁護したり。そもそも「家庭内暴力」は合法ではない。
結局、メディア上層部の戦略ミスだったのだと思う。「上から目線で偉そうに説教する女性キャラ」には昔から一定の需要がある。
そこで曽野綾子桜井よしこの後釜になるような人物として瑠麗にスポットが当たったが、「大喪の礼」を読めずに国葬を語り、「ワシントン・ポスト」と「ワシントン・タイムズ」を間違えながら統一教会問題を語る瑠麗には無理がありすぎた。それでも引き返せなくなったのが今の惨状ではないか。
瑠麗の夫による太陽光発電所の建設計画には実体がなかった。実体がなければ必ずボロが出る。こうした意味において、瑠麗は佐村河内守やショーンKに近い。メディアは何度も同じ過ちを繰り返すべきではない。(文中敬称略)
(適菜収/作家)

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