勇気

 勇気がある人は強い。感心する。
 昨夜夕食を終えてくつろいでいると電話がかかってきた。1日中吐き気がして、いや実際に吐き続けていて、何も食べれないで奥さんが困っていると言うものだった。
 もう10年くらい前に僕の薬局をよく利用してくれていた人からだ。奥さんが股関節痛のためにロキソニンを飲んでいるが、全く効かないから、良く効く痛み止めをくださいと言うものだった。
 ロキソニンでゲエゲエ吐くと言うのはあまり聞いたことがないので、ロキソニンより強い薬は薬局では出せれないよと断ると、昨夜、ご主人が脊柱管狭窄症で病院からもらっているトラマールを奥さんに飲ませたと白状した。それで奥さんの辛い症状の理由が分かった。麻薬ではないけれど、同じような働きをする薬で、従来の機序とは全く異なる効き方をする。
副作用を列挙すると下記のようになる。
慢性疼痛を対象とした試験では85.3%の頻度で何らかの副作用が認められており、主なものは、便秘(50.8%)、悪心(49.2%)、傾眠(29.5%)、嘔吐(19.0%)、浮動性めまい(18.5%)、口渇(9.3%)、食欲減退(6.6%)、頭痛(6.2%)、倦怠感(5.6%)であったとされています1)。
1日飲んだだけで、悪心の49%と嘔吐の19%の仲間入りしたみたいで、速攻だ。脊柱管狭窄症も股関節痛も苦痛のほどはあまり違わないのかもしれないが、所詮痛み止めの世界で多くの人が我慢を強いられている。「治らんの?」と尋ねられたが、治ると答えることはできない。痛み止めが効いている時間苦痛は軽減されるが、体は全く飲む前もその後も同じ構造だ。治るわけがない。その質問に、皆さんこんなに期待して病院の薬を飲んでいるんだと言う驚きと、治るわけがないと言う僕の考えとのギャップを、調剤薬局の薬剤師と漢方を中心に勉強してきた薬剤師の立場に置き換えて悩ましく思った。

 

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