僕が現れると場違いだから数十メートル離れた2階の窓から時折様子を見ていた。小雨がぱらついたから、娘がテントを取りに来たのだが、そのテントは息子が捨てようとしたものだ。祭りくらいにしか使っていないから綺麗なのだが、自分の物置が手狭になったから捨てようとしたらしい。あまりにももったいないから譲ってもらっていたのが役にたった。
4台の車がそれぞれハスキー犬を連れてきた。同じ犬種の愛好家のグループなのだろう。ドッグランは駐車場の木に隠れて見えないのだけれど、帰る時にカフェ辺りで娘夫婦と4人が話をしていたのは見える。その時のワンちゃんたちの振る舞いが、なんともかわいかった。遠目で顔の表情までは分からないが、大型犬なのに仕草がとてもかわいくて、飼い主さんたちの幸せが伝わって来る。
犬を飼っている人の死亡率と認知症に陥る確率が半減すると言うデータを見てから、ドッグランを作ってよかったと思えるようになった。ドッグランと言うネーミングにどう見てもふさわしくない僕の風貌だから、遠慮して利用者のどなたにも会ったことはないが、プチ健康相談くらいはしてみたいものだ。
看板も立てず、宣伝もせず、それでも来てくださる方がおられるのは不思議だが、僕が気兼ねすることなくドッグランにおれるようにするためにはまず看板を作らなければ。「犬 走る」と。それなら僕は場違いではなく、景色に溶け込めるだろう。