発熱

 結構衝撃的な報告だ。従来は熱が高かったら、解熱薬や体を物理的に冷やして、回復を図ることが定石だったが、その行為がほとんど死亡リスクや重篤な症状になることに影響しないと言う発見。多くの症例を追跡して得た結論だ。
 長年信じていたことが覆されたのだが、20年くらい前にそれを実践していることを実は垣間見ていた。さすが大学病院だから、経験則で何もしないで42度の高熱の幼児を入院させていたのだろう。熱が必要だから出ていると考えてのことか、あるいは今回のように物理的に下げても何ら得る所がないと知っていたのか。しばしば漢方薬を取りに来ていた若いお母さんのお子さんが高熱で入院したけれど、熱を下げる薬をくれないと嘆いていたを思い出した。
 人生のほとんどの期間刷り込まれていた常識を翻すのは難しい。解熱剤で1度熱を一時下げただけでも楽になる。その時の回復感は希望だ。一時でも楽になれば回復が促進されるような気になる。いたずらに熱を下げると免疫が完成しないから、侵入した細菌やウイルスを排除できないと言う考え方との押し合いだ。度胸を決めて熱が出るがままにするのがいいのかもしれないが、仕事人にはなかなかそれは出来ない。一時の解熱で体に鞭を打ち仕事をする、そうインプットされている。
 医学の常識も結構変化する。先進的な知見を後追いするにも度胸がいる。取るに足らない粗末な経験でも自分の古い脳の中では鉛でしっかり保護されている。

 

 

発熱に対する解熱薬と身体冷却、死亡リスクに影響するか/BMJ
 成人発熱患者に対する治療(解熱薬、身体冷却)は、死亡や重篤な有害事象のリスクに影響しないことが、スウェーデン・ルンド大学のJohan Holgersson氏らが実施したシステマティック・レビューとメタ解析で示された。
 研究グループは、2021年7月2日までに発表された、あらゆる原因による発熱成人患者の無作為化試験(発熱に対する治療と、プラセボ/偽治療の有無にかかわらず治療なしを比較した試験)を特定した。
 計42試験、5,140例が解析に組み込まれた。42試験の内訳は、解熱薬(計11種類)を評価した試験が23件、身体冷却11件、解熱薬と身体冷却の併用8件であった。
発熱治療は死亡リスクや重篤な有害事象のリスクに影響しない可能性
 5,140例のうち、3,007例が重症、1,892例が非重症、3,277例が感染性発熱、1,139例が非感染性発熱の患者であった。

 

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