強要

 この辺りだけなのか、あるいは全国的にそうなのか分からないが、年に一度のレントゲン検査がいつものようにこの時期に行われた。夏だからTシャツ一枚で済ますことが出来るから、この時期を選んでいるのか、偶然僕の町がこの時期に当たっているのか分からないが、僕にとっては都合がいい。
 牛窓に帰ってきてから毎夏の恒例行事に45年間参加していることになる。タバコをやめたから、あまり心配はしていないが、これを受けなかったら結構役所がうるさいと聞いているので欠かしたことはない。結核を中心に検査していた時代の名残だろうか。
 その長い歴史の中で今日初めての試みが行われていた。レントゲン待ちの人が多かったので、椅子に腰かけさせられて一人終わるごとに移動するように仕向けられた。レントゲン車の乗降口が目の前に見える所に椅子が並べられていたので、そのあたりに視線が行く。そこで見つけたのが、3角錐に背中合わせに張り付けられた2枚の紙だ。片方には「只今男性です」もう一方には「只今女性です」と書かれていた。
 入口に陣取っている男性が、いちいち乗降口に消えていった人に合わせていた。以前なら狭い車の中で男性も女性も3人常に押し込められていたが、今年は車の中で両性が混ざることはなかった。僕は仕事の途中で慌てて駆け込んだので、ボタン付きの服だった。服を脱ぐように言われて少し時間がかかってしまったが、僕の次で待っていた女性は入ってこなかった。確かに分けているのだとその時はっきりした。
 考えてみれば至極当たり前のことが少なくとも45年もかかって実現されたことになる。誰が気付いたのか、誰に指摘されたのか分からないが、こんな単純な事でも半世紀の時間を有している。同じことは国の重大な決まり事でも同じだろう。世のシステムが変わらなくていい人や、変わらないほうがいい人のために、多数の人が犠牲になったり我慢を強要される。そんなバカげた時代を終わらせたいと思うが、なかなかその窮屈に気が付かない人も多くて、現状維持、いやいやもっと庶民には悲惨な時代を国民が選択しそうだ。混乱と困窮の時代に、巻き添えを食いたくはない。

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