修理

 およそそ10日間で3回、分包機の修理に岡山から来てもらった。運よく3回とも夕方故障したにもかかわらず午後6時半の留守番電話に変わる前だったので、故障が起きてから1時間半から2時間で直してもらったことになる。僕の薬局の場合、漢方薬は粉薬も煎じ薬も基本的には手作りで、箱や瓶に入った漢方薬を売るようなことはしない。症状の程度や体重に差があるのに、皆さんに同じ薬を飲んでいただくのは抵抗がある。薬局製剤と言う許可を得た薬と言うルールはあるが、なるべく効きやすくなる方法をいつも考えている。
 そんな形態だから、分包機は必需品だ。いつでも使えるようにスタンバイしておかなければならない。故障なんて許されないのだ。
 ところが、ヤマト薬局の分包機は17年前のものだ。例えば17年前の車を今目撃することは難しい。そのことを考えるとどのくらい長期間僕がその機械を使ってきたかわかる。
 古い機械を修繕しながら使い続けているのは、漢方薬を作るための分包機は存在しないからだ。現代薬を作るためにできている機械を使うのはそもそも間違っている。仕方なく代用しているのだが、この仕方なくにはかなり無理があって、冒頭のように遠路はるばる修理のためにやって来てもらうことが多くなる。
 以前は実際に修理するところがなくても出張費をとられていた。ところが今来ている若い彼には請求をされていない。来て数分で直る故障、機器の交換もしない故障に出張費をとられるのには抵抗があったが、故障で薬を作ってあげられないストレスのほうが応える。
 おかげで誰も断らずに済んでいるが。入社数年目の若手が技術的に進歩を見せ、人としての裁量を、先輩後輩の関係より上位に置いているのが嬉しかった。「機械いじりが好き」と言う理由で修理会社に就職したらしいが、まるで化石のような動機が、今この国で圧倒的に不足している。AIより指先を信じる、そんな職人を多く育てなければ。

 

【街宣LIVE】「 れいわ新選組 総決起しまくり大会!」東京都池袋駅西口マツモトキヨシ付近(2022年6月4日) - YouTube