「そんなに喜んでくれるの」思わず背後で進行していた事態に割り込んだ。
八百屋の店頭(いや今の時代はスーパーの店頭のほうがいいか)にはさすがにこんなに大きなキャベツは並ばないだろうと思う。実際に測ってはいないから正確には言えないが、直径でいうと30㎝、高さは20㎝くらいありそうだ。これが我が家の食卓にいずれ並ぶと思うとげっそりしそうな大きさだ。「肉をくれ!」と言いそうな大きさだ。
朝とれたものを農家の方がくれた。3家族で分けるのだからせいぜい3個でいいのだが、それだけでは失礼に当たるというのが農家の方の考えで、とても食べれないほどの数をくれる。もちろんくださる方もそれは分かっていて、近所の人にでも分けてくださいと、一言添えてくれる。だから正々堂々ともらったものを人にあげられる。
今回は近所の人ではなく、薬を毎日配達してくれる問屋の配送係の女性たちに、娘がおすそ分けしていた。その中の一人、いや結局すべての問屋さんの女性たちがびっくりするほど喜んでくれた。
牛窓は野菜が有名だってことを知っているのもあるだろうが、とれたての新鮮さ、大きさが強烈だったのだろう、料理方法などを娘と楽しく話していた。
僕にとってはたかがキャベツだが、いただいてくれる人が、その「たかが」を昇華してくれる。
最近はどこの会社も女性が荷物を配達してくれるが、礼儀正しくて、事務的でない。運ばれるものに、時に小さな物語も生まれる。