配達

 最近は処方箋調剤で使う薬を毎日配達してくれる人の多くが女性になった。調剤用の薬は小包装のものが多いから力に自信がない人でも十分だ。むしろ礼儀正しさや会話能力を考えると、男性よりははるかに数字では表せないが生産性は高いと思う。荷物の受け渡しにも心地よさが加わればそれに越したことはない。ロボットに近いような人間もいたからよいところに目を付けたなとこの1,2年の変化を歓迎している。この国は人手不足ではなく、仕事内容と賃金さえバランスが整っていれば、需給のバランスは必然的にとれるものだ。
 牛窓では幸いにまだ農家を手伝う外国人はいない。荒れてイノシシが出没するところも多いが、県道沿いの便利なところはきれいに野菜が植えられ、季節ごとに顔を変える。僕は牛窓に帰ってきて坂道からその光景を見るととても安心する。場所によってはとても若い人たちがたくさん働いていて、農家と言うより企業に近い。もっとも僕にとっては顔なじみだから昔の農家の人たちだが、その収穫の実績を聞いて嬉しくなる。経済的にも大きな収穫をしているのだ。あそこが荒れているからどうにかしてなどとリクエストを出すのだが、それはいまだ実現できない。いわゆる採算が合わないのだろう。でも、「僕は野菜がいっぱい植えられている光景が大好き」と言うと、とても喜んでくれる。
 コロナでいらない会社、いらない仕事、いらない人材もあぶりだされたかもしれないが、人が大地に帰るチャンスになってほしい。トランプの言いなりで使いもしない軍用機に兆の金を払うのだったら、大地を耕してくれる人たちに、労働に応じた報酬を保証してほしい。3割くらいしかない食料自給率でいざとなったらどうしのぐのだ。いい目をしてきた人たちでも、国民のために何もせずにとにかく悪の限りを尽くした汚部を断罪する時がいずれ来るだろう。コロナか地震か、他のものかはわからないが。