知的ヒーロー

 下記は古賀茂明さんの文章。権力にたてついた知的ヒーローだ。山本太郎と組んでぜひこの国を悪人から取り返してほしい。そして政権交代して隣の国のようにぜひ塀のあちら側に放り込んでほしい。
 

 「森友公文書改ざん事件で自殺した近畿財務局職員の手記でも懲りない高級官僚」
森友学園事件で、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)に決裁文書の改ざんを強要されて自殺に追い込まれた近畿財務局職員、赤木俊夫さんの遺書と手記が公表された。安倍晋三総理が国会で自身と昭恵夫人の関与を完全否定する答弁をしたため、その答弁に合わせて、佐川局長が部下に文書改ざんを命じた。現場でその悪事に加担させられた赤木さんは、最後は自殺することで財務省の不正を告発したのだ。赤木さんの悲痛な心の叫びを綴った手記を見て、多くの国民は同情し、憤りの気持ちを持った。しかし、赤木さんのことを問われた安倍総理は、「ああいう結果になり、総理として大変申し訳ない」と形だけは謝罪したものの、赤木さんの告発に応えて再調査することは簡単に否定した。自分のせいで死に至った官僚の声を踏みにじる冷酷なその姿に、国民の多くは驚き、また二重の意味で怒りを感じている。本件に限らず、安倍政権は、官僚を支配し、官僚はその意向を忖度せざるを得ないという見方が一般的だ。桜を見る会の事件ですぐに嘘だとわかる答弁を繰り返す内閣府の幹部官僚や検察官の違法な定年延長問題で虚偽答弁撤回に追い込まれた人事院の局長などには、同情する声すら上がる。しかし、彼ら高級官僚たちの身の上を赤木さんに重ねて案じることは決してしてはならない。なぜなら、彼らには彼らなりの打算、すなわち、忖度して嘘をつき通せば、安倍政権は、出世や天下りで報いてくれるという損得勘定があって動いているからだ。現に、佐川局長は国税庁長官に出世し、安倍政権の検察支配のおかげで牢屋行きも免れた。加計学園事件でも、大ウソで安倍総理を庇った経済産業省出身の柳瀬唯夫元総理秘書官は官民、内外問わず、多くの企業から引く手あまたで、悠々自適の天下り生活を送っている。桜を見る会の事件で文書を改ざんした内閣府人事課長も、刑事罰はおろか国家公務員法上の処分もなく、内規による「厳重注意」だけだった。国公法の処分なら今夏昇進できないが、内規処分なら出世できる。安倍政権が夏の「出世」を約束したようなものだ。官僚たちは、ただ隷従しているのではない。しっかり見返りを得ているのだ。実は、こうした個別の「忖度への報酬」以上に官僚が安倍政権を評価していることがある。それは、安倍政権が官僚の利権にめっぽう甘いということだ。最もわかりやすいのが、歴代内閣が常に掲げていた「行政改革」や「公務員改革」が、第2次安倍政権では「死語」と化したことだ。今や各省庁の天下りもやりたい放題と言ってよい。今国会に提出された国家公務員法改正案も官僚は高く評価している。その内容は、「公務員の定年を65歳まで延長し、60歳まで役職定年なしで昇給を続ける。能力や意欲に関係なく65歳までは、60歳ピーク時給与の7割を保証する」というもの。まさに「役人天国」だ。年収1千万円でぶらぶらする60代官僚が続出するのは必至だろう。一方、加計学園獣医学部新設に抵抗した文部科学省に対して、安倍政権は天下り規制違反を理由に、前川喜平事務次官(当時)を辞職にまで追い込んだ。「安倍政権にたてつくとただでは済まないが、そうでない限り官僚の利権は全て守る」。それが安倍政権と高級官僚の暗黙の了解だ。安倍政権と官僚、どちらも国民を裏切る大罪を犯す共犯者と言うべきだろう。
週刊朝日  2020年4月10日号