時事

 2時間くらいの間だけだが、僕の薬局に薬剤師が5人そろった。これくらいいると気持ちも体も楽だろうなと思う。しかし、それは経営的には無理な話。漢方薬に興味を持ってくれた薬剤師と、漢方薬を10数年勉強した薬剤師と縁ができたから実現した夢の時間だ。実際には娘夫婦が病院の薬、僕が漢方薬にと分かれギリギリの余裕のない業務をこなしている。
 ある時間、調剤に必要な漢方薬が届かいないから、クロネコヤマトの配達を待っていた。全員の手が休まざるを得なくて雑談をしていたのだが、なぜか日本の将来の話になって、僕より一回り若い薬剤師と、二回り若い薬剤師に、衰退国家日本について話そうとした。すると話す前に同じようなことを二人とも感じていて、経済だけでなく、自然災害なども含めて不安を感じていた。当然その逆の「希望」は描けないような雰囲気だった。
 人口減については、皆危惧はしていなかった。一番若い薬剤師が言ったが、日本がアジアのどの国にも10年くらいで追いつかれると、日本に働きに外国人がやってこなくなると「歓迎」していた。僕がベトナム人と長い間親しくしているのをもちろん知っていながら、もう一人の薬剤師と「ベトナム人が日本に来なくなったら、牛や豚や鶏を盗まれて丸焼きにされなくなるからいい」と言っていた。
 あのニュースを見て僕はすぐにベトナム人の仕業だと思った。日本に来ているベトナム人のほとんどは田舎の出身だから家畜を扱うことなど慣れている。さばくのもお手の物だ。あの手際の良さは警察もお見遠しだっただろう。ベトナム人と初めて知り合ったころ、選抜されてきた人たちが多くて、心地よい交流だった。しかしそのうち彼らが「ベトナム人でも怖いようなベトナム人がいっぱい日本に来ている」と言い始め、その通りになった。
 山本太郎の率いる令和新選組では、これらの外国人労働者の受け入れに反対している。大ぴらにそう言っているのは彼だけかもしれない。僕はその点をとても評価する。目の前にいる人には僕は国籍を問わず必ず親切にするが、低賃金で働く彼らに日本人が駆逐されるのは見たくない。大金持ちが、倹約のために連れて来るのだが、近所に彼らのコミュニティーができるのは庶民が住む町だ。高級住宅街に暮らす金持ちには接点はないから気にも留めないだろう。ただ、集団でやってきたものをコントロールなどできない。いずれ小さな町から占領される。
 普段は必要最低限のことしか話さないが、今日は時事ネタで、ベテラン薬剤師たちの薬業以外の価値観が垣間見えて、楽しいエアポケットみたいな時間だった。