気後れ

 何だ目の前にいる生物は。この炎天下、サッカーをしていたと言う。真っ黒に日焼けして、筋肉がはじけそうだ。母親に連れられてくるからまだ幼いが、肉体的には絶頂期を間近にしている。
 片や政治や経済を動かしている人間どもは、筋肉が落ち歩くのもおぼつかない老人ばかり。あと何年生きているのかと思うような奴らが、組織に君臨している。まともに走れない、まともに物を持てない、まともにジャンプもできない、そんな人間が金と力で、生命力真っ盛りの若者を支配する。少し横から押せばよたよたと倒れそう、後ろから押せば前頭部を打って死にそうなやつらが、まだ世の中を支配する。
 オレオレ詐欺などの陰湿な行為より、正々堂々と持てる奴らの真ん中を突破したらいいのに。そんな勇気もないのか。土嚢一つ持てないやつらに何を気後れしているのだろう。