集団演技

 あれは家族なのか?親族なのか?演劇集団なのか?軍隊なのか?いや、あれはやっぱり「雀の学校」なのだろう。
 昼過ぎに荷物を取りに1階の駐車場に出た。そこからは隣地の広い駐車場が丸見えだ。駐車場と言っても資産家がほとんど手を付けずに貸しているだけで、空き地と言った方がいいかもしれない。当然車が踏みつけないところは草がいっぱい生えている。逆にいつも同じように車は通るから轍ができて深く掘れたところと盛り上がったところが共存している。
 雨上がりも二日目になると土は乾いている。その土の上に、ちょうどフラフープを置いたくらいの範囲の中に雀がいた。狭い範囲にたくさんいたので数えてみたら13羽いた。
何をしているのか分からなかったが、その3密ぶりは興味深い光景だった。餌でも落ちているのだろうか。人間の目には入らないようなごちそうが、乾いた土の上に用意されているのだろうか。僕の気配を感じたのか、一斉に飛び立ったが、またフラフープ状態で近くに舞い降りた。
 たったそれだけのことなのだが、僕は「いいものを見た」。わずか数メートル先で行われた雀の集団演技だった。やはりあれは「雀の日本体育大学校(日体大)」だったのだ。