領域

 このところ牛窓も雨が多いから、中学校のテニスコートでのウォーキングもできなかった。昨日から雨が上がっていたので今日は十分コート周辺は乾いていた。コートを避けてその周りを歩くのだが、そして主に歩くのは、4面あるうちのほとんど使われていないコートの周辺だ。そのコートの中には雑草が生えているが、周辺は黒い苔が生えていて、本当に乾ききらないと滑って危険なくらいだ。ただ整備の手が届かなくて、そのコート周辺が乾ききっているのはめったに見ない。下手をすると数日池状態の時もある。
 そこを今朝歩いていて、主にコートの中に白いものがたくさんあることに気が付いた。砂浜にまるでピーチパラソルが点在しているかのような光景で、真っ白の茸が、あるものは傘を開いて、あるものは傘がまだ閉じられていて、大きさも直径数センチから5センチくらいとばらつきがあった。記憶は定かではないが「キノコの森」と言うようなチョコレートがあったように思うが、真っ白なキノコの森がコートに点在していると想像していただければ光景を思い浮かべてもらえるかもしれない。
 見方によれば綺麗でもあるが、見方によれば過疎の町を象徴しているようでもある。主がいなくなったテニスコートで、踏まれることもなく堂々と姿を現すことができるのだから。本来なら生徒たちの走り回る靴の犠牲になるところだが、天敵をなくした生命力を誇示しているようだ。
 早朝歩くことで多くの鳥たちに会える。それだけで幸せを感じられるくらいなのに、今朝は「キノコの森」に出会えた。人間が奪い続けてきた領域を次第に生き物や植物たちに返しているような気がした。