鼓舞

 見かねて今日も県外から薬剤師が手伝いに来てくれた。しかし、意外にも励まされた。彼女たちが若い時は、1日40人くらいの薬を作っていて、それこそ動き回っていたみたいだ。それに比べれば、僕は動き回ると言う感じではない。さすがに調剤するときは分包機の前や薬棚の間を移動するが、別に早足になる必要もない。むしろパソコンに向かって相談内容に返事を書いていたりするから静的な時間の方が多いかもしれない。
 体が止まっていて脳の中は活動していても、まさかそれで疲れるなどとは思ってくれない。ブルーライト浴び浴び状態で消耗するのは自分では分かるが人様は理解できない。
 薬局を譲ると言ったら、僕の個性と会う人が来ているのだから、箱だけ継承してもむつかしいと言われた。それはそうかもしれないが、それでは僕に終わりがなくなる。するとできる限り長く仕事をすべきだと諭された。人様のお役に立てれればそれに勝る幸せはない。それは全く同感だが、やる気はあっても体がついてくるかは心もとない。ある日ふとが、明日ふとになる年齢なのだから。
 あれだけのことを一人でやるのかと言うくらいの仕事を二人で分担できたから、今日の疲労感はかなり少ない。有難いことだが、もっと頑張れと言う激励が耳に残っていて、どの様に自身を鼓舞しようかと、彼女が帰ってから考えた。
 腰が曲がり、膝がよじれた高齢のお百姓の働く姿か、高座の上で倒れるを良しとする芸人たちの姿か。10時間以上手術続ける医師たちの姿か。確かに僕など及びもしないくらい働いている人はいっぱいいる。弱音など吐いてはいられない人はいっぱいいる。僕の弱音を今年初めての北斗七星の柄杓で流してくれ。