記憶

 もう朝かと目が覚める。明るかったらそのまま起きる。新聞受けから新聞を取ると、電気マッサージ機に身をゆだねながら新聞を読む。これをしなければ怖くて活動できない。腰がギクッときたら数日は仕事ができずに、家族に迷惑をかけるし、漢方薬を飲んでくださっている人にも迷惑がかかる。新聞を読んだ後は中学校のテニスコートに行き20分間歩き続ける。
 もう6時かと調剤機器とパソコンに電源を入れる。夜のうちに注文が入った方々の漢方薬を作り、相談メールの返事を書く。
 もう7時かと、2階に上がり朝食を食べる。およそ15分で降りてきて、再び漢方薬を作りパソコンにも向かう。
 もう9時かとシャッターを開けて、スタッフがそろったところで正式な仕事に入る。薬局に直接来る人、電話の人、メールの人、すべて漢方薬は僕の仕事。
 もう2時かと急いで2階に上がり昼食をとる。15分で食べ終え、運が良ければ電気マッサージに横たわり、15分間の深い眠りに入る。
 もう4時半かとピッチを上げる。その時間までに注文の漢方薬を作れればクロネコの集荷に間に合う。ただし、間に合わなければ妻がクロネコまで持っていく。往復20分かかるからなるべく4時半までに作り終えたいが、なかなかそうはいかない。
 もう7時かと急に緊張の糸が切れる。シャッターを下ろし再び中学校のテニスコートに行きウォーキングを20分間する。
 もう7時半かと夕食を30分かけて食べ、薬局に降りてくる。メールの返事を書き、相談の処方を決めブログを書く。
 もう10時かと2階に上がり風呂に入って布団に入る。
 2年前に今と同じくらい働いて、自律神経を壊してしまった。あの時は薬局の営業時間内にすべての仕事を済ませると決めていたから、それが災いした。今はその時の経験を教訓に、始業前に3時間、終業後2時間仕事をすることにした。
だから今のところまだ持っている。ただ自信はない。自律神経は明らかに悲鳴を上げ始めている。こともあろうに2年前の記憶の通りに。