背伸び

 手を伸ばせばすぐにボールペンをつかむことができる。1秒を争う職業でもないが、どこに行ったか探し回る時間はやはり惜しい。そこで昨日ホームセンターで、10本880円のボールペンを買ってきた。数か月前に同じように10本買ったのだが、あるものは使い切り、あるものは行方知れずになり結局は2本だけになったので、再び奮発した。
 僕ら世代の人間は、ボールペンなるものが世に現れた世代だから、結構今でも、魅力的なものに映る。そして高価なものの印象もいまだある。だから僕は1本を書けなくなるまで使い切ることに執着している。今でもそうだが、ただそれだとどこにやったか作業ごとに探し回らなければならない。探しまくって結局見つけたのは白衣の胸のポケットの中と言うのもしばしば演じるドジの一つだ。
 10本もあればさすがにどこにでもある状態だ。作業する場所は所詮3か所くらいだから、こと字を書くことに関しては完璧だ。1日合計でどのくらいの時間を節約できるのか分からないが、背伸び10回分くらいになってくれればしめたものだ。