教訓

 皮肉なことに、僕の体調を一番心配してくれるのは税理士の先生だ。我が家の経理を見てくれているから、仕事ぶりが手に取るようにわかるのだろう。先日来られた時にしみじみと僕の顔を見ながら「先生も年ですから、これだけ働くのはきついでしょうね。もう70前ですものね」と言われた。誰にも労をねぎらわれたことがないからジンと来た。身内より他人の方が気が付くことも多いし優しいこともある。まして評価など、家族はしてくれない。
 2年前の教訓を生かして今気を付けていることは、用事がなければ早く寝る。昼食後昼寝をするの二つ。2年前は仕事の量を減らすことで何とか乗り切ったが、それは消極的な乗り切り様で、僕には本来あってはいない。今回は体力の消耗を防ぐことで乗り切りたいと思っている・・・が、時に自信を失いかける。2年前には、ひどい寝汗と悪寒が交互に来るほとんど更年期障害ものと、動悸で目が覚めると言う循環器まで巻き込んだ自律神経の失調で苦しんだ。
 年齢を重ねることが職業にプラスするのだと最近思うことが多くなったが、それは知識の、いや経験の引き出しがやたら増えたと言うことだけで、肉体的にはやはり逆比例する。いくらでも働けるころには知識不足で悩み、知識が人様の役に立てるようになったら体力不足で悩み、良い時はいったいいつだったのだろう。実は、僕はひそかに一番良かったころを、今にしたがっているのだ。