濾過

 コーヒーを飲むのなら、フィルターを使って淹れるコーヒーが最も健康的であることが、ヨーテボリ大学(スウェーデン)のDag Thelle氏らによる研究で示された。コーヒーを日常的に飲んでいる人は、コーヒーを飲む習慣がない人と比べて寿命が長かったという。ただし、これが当てはまるのはフィルターで濾過して抽出したコーヒーを飲んでいる場合のみで、エスプレッソなどフィルターで濾過しないコーヒーを愛飲する人では寿命の延長は認められなかったとしている。詳細は「European Journal of Preventive Cardiology」4月22日オンライン版に発表された。
 

 早く言ってよ、コーヒーは中学校の頃から飲んでいるが、フィルターを使って淹れるコーヒーを飲んだのは、僕のコーヒー人生の初期と後期で、その間のほとんどの時期はフィルターではない。
 中学校時代は母が入れてくれたネスカフェ。高校時代も同じ。浪人してからほとんど授業をさぼって喫茶店に行っていたからここでは、フィルター。ただ煙草と授業に出ない後ろめたさで健康にはマイナス。大学時代も同じ。食費はないのになぜかパチンコ代とコーヒー代はあった。1杯のコーヒーで数時間粘るのだから、喫茶店のマスターはよほどいやだったろう。ただ客が少ない店だったからサクラにはなったのかもしれない。その5年間もまた、栄養失調と煙草と罪悪感で健康には何の寄与もしていない。
 偶然だけれど、半年くらい前、娘がフィルターで淹れるコーヒーをサービス用に大量に買った。一つ一つティーパックに入っていて、コーヒーカップのふちに、フィルターを橋渡しにするような簡単な方法で美味しい入れたてのコーヒーが飲める優れものだ。コーヒーを煎れるときの香りが薬局内に漂う。50年前、毎日通った柳ケ瀬の場末のコーヒー屋を思い出した。それからは悪いけれどネスカフェなど飲めなくなり1日2回楽しんでいる。決して高額なわけではなく、品質と値段を比較したら「安い」
 恐らく僕はこれからもそれを楽しむだろうが「もっと早く教えてくれればよかったのに」で終わることなく「あの時その文献に目を通していてよかった」と言いたいものだ。