仕業

 欲しくはなかったけれど、隣の古民家を買ったときに、裏の広い土地も一緒に買わされた。山のふもとで、いつ倒れたのか分からない大木が手付かずで横たわっていて、夏などは入っていくのが怖いほど草が伸びる。さすがに年に一度、この時期にはシルバー人材センターに依頼して草を刈ってもらうが、刈ると結構広々としていて、何か使えたらいいのにと思う。150坪程あるからアイデアがわく人なら利用出来るだろう。ただ残念ながら僕は何も思いつかない。今のところ結構なお荷物。
 シルバーの方々が作業が終ったから確認してくれと言ってきたので、一緒にその土地へ行ってみた。すると10箇所くらい大小さまざまのクレーターが出来ていた。去年までは見ていない。誰が何のためにと思うような作られようだったが、シルバーの方曰く「いのししの仕業じゃあ」。そういえば大きさも、深さもいのししが水遊びできるくらいだ。大人もいれば子供もいるだろうから大きさが色々なのもわかる。1月ほど前に、ベトナム人が草むらにいのししがいたのを目撃したが、偶然その時にいのししが山から下りてきていたのではなく、きっといのししにとってはお決まりの、いやお気に入りのリゾート地だったのだ。暗くなると毎晩くらいお忍びでやってきていたのだ。その土地は、ベトナム人が入居しているその古民家からわずか5メートルくらいのところだから、その穴を見たときには一瞬ぞっとした。家族の希望を背負ってやってきている人たちに何かあったら申し訳ない。
 水浴びか、蚤取りか、ミミズを食べるためか分からないが、せっかくのリゾートも人様と隣りあわせでは許可できない。その広い土地を草が生えないように管理するのは経験上難しい。だとすると無粋だがコンクリートか砂利を敷き詰めるのか。「やつらの自由には、させねえ」