頭数

 苦手か縁が無いのか嫌いなのか分からないが、お金持ちとは大きな壁がある。高くてなかなか越えられない。どこから見てもそのような方が最近来ている。お金があっても病院で治らないものは治らない。
 2週間であるトラブルが改善したから、次の病気も依頼された。なかなか上品で礼儀正しい。感心していると、娘が「お金持ちはいい人が多い」と言った。僕はその言葉が意外だった。先週末、珍しく話しかけてきたと思ったら、選挙でれいわ新撰組を応援しているという内容だった。そんな娘がお金持ちに対してすこぶる好意的な発言をしたからだ。僕は逆の印象を持っていて、高慢が鼻につくことが多かった。最近来る様になった人は、僕などなかなか遭遇しないだろうレベルのお金持ちで、ある線を越えると金持ちでも謙虚とか、礼儀などが身についているのかと思わせる。努力で築き上げてきた人は、運や腕力や野心で這い上がってきた人とは違うのだろうか。
 企業に莫大な金をプールさせるために汚部を始めとする痔見ん党は、貧乏人から消費税を取る。金持ちのための政治をするのだからやつらにとっては物言わぬ庶民は好都合だ。首を絞められている指がだんだん締まっているのにそれが分からないお人よしは、買うものも諦めてひたすら閉じこもる。国に守られている階層と、飼いならされてその階層に奉仕する階層に分かれた。なんら政治的な声を上げないのだからやりたい放題をされて、何のために生まれてきたのだろうかと哀れみをかけられるような人生を送る。もはや国は、彼らを含めた国ではなく、持てる人間達のためのものなのだ。
 薬局の中で好感が持てるその人に罪は無く、むしろ娘などには好感を抱かれているが、僕にはその人の足元で横たわる多くの庶民の姿が見える。その人になんら落ち度は無く、その努力をたたえなければならないが、政治屋にとって頭数には入っていない庶民の哀れを思ってしまう。