公平

 年金だけでは、生涯足らないお金が2000万円と言われたり、3000万円と言われたりしているが、そうした過程で出てきた違う数字のほうが深刻だ。還暦の人に対してのアンケートで貯金が100万円以下の人がなんと25%もいるそうだ。いろいろな理由があるのだろうが、これはかなり心細いと思う。国民年金の人もこの中にはかなりいると思う。となると、年金があろうがなかろうがやっていけれないのではないか。できるだけ長く働いて自立しなければ、残りの生活保護人生が長くなってしまう。それを申請できる人はいいが、下手にプライドが高ければ飢え死にしなければならない。
 この数字を聞いて優越感を持ったり、自分は恵まれているなんて考えている人も、次の数字を聞くと一気に谷底だ。なんと、還暦で1億円以上の貯金を持っている人が8%もいるそうだ。これはもう安泰だ。体が動く間は贅沢三昧をし、動けなくなれば医療つきの豪華な老人ホームに入ればいい。いつからこの国もこんなに富める人とそうでない人の差がついたのか分からないが、不平等も極まっている。
 ところが最近のニュースをにぎわしているのは、圧倒的多数の下流の人たちだけでない。経済をはじめ多くのものをもっている階級の人たちも結構主役になっている。多くのものをもっていてもいつ家庭に不幸がやってくるかわからないご時世なのだろう。頷けるところもある。悪徳政治屋に忖度し、国民の血税をやつら上納する疫人の家庭に正義があるはずがない。子供の価値観が混乱するだろう。貯金もできずに本当にぎりぎりで生きて行く人たちに巨悪は無縁だ。因果応報、せめて苦しみだけは公平に。