倭(YAMATO)

昨日初めて、兵庫県の山崎と言う町に行って来た。中国縦貫道のインターチェンジがある町だ。竜野からまっすぐ北に上がるのだが、30分もかからなかったように思う。ところが竜野から少し走ったあたりから、道路の両側に小さいけれど結構鋭角の形をした山々が連なり始めた。小さな山が途切れなく連なり大きな連峰を作っている感じで、景色の変わり目の速さに驚いた。当然山間を流れる川には勢いがあり、車窓越しの景色にベトナム人達は見とれていた。
 僕がわざわざそのあたりまで出かける理由は一つしかない。和太鼓のコンサートだ。県外まで、それも見知らぬ町まで出かけさせる、そのまた理由は、倭(YAMATO)のコンサートだからだ。10年くらい前に岡山で見たときに、海外で活躍するプロ集団の実力を知ってから、又見てみたい、聴いてみたいと思っていたが、なかなか地方では機会がない。日曜日しかコンサートに行くことができないという制約もあいまって、多くのコンサートを諦めているが、コンサートを物色するエリアを少し広げてみたら、運よく山崎での開催を見つけたのだ。
 もう何度も和太鼓のコンサートに連れて行っている彼女達も、幕が上がったとたん驚き、歓声を上げていた。片道1時間半の苦手な運転が報われる一瞬だ。あっという間の至福の時間は過ぎたが、後で多くの写真をメンバーの方達と一緒に撮ってもらい、思い出のかばんに又一つ入れてあげることができた。
 それにしても毎回思うことだが、北の町って、人口規模以上の商業施設が整い、文化活動も盛んだ。目に見える集落は一つ一つは小さくても、広域から人を集めるから実際には見た目以上の力があるのだろうか。それとも不便さを克服する力だろうか。牛窓みたいに南部と言う立地に甘んじて何もせず指をくわえて衰退し続けるのとは大違いだ。
 目も耳も肥えてしまった彼女達に、世界を股に活躍するチームも地域で精進する素人チームも、どちらもすばらしいんだよと言うと、「ワタシ ゼンブ スキ」と答えた。無用な一言だった。