人生相談

 高橋源一郎毎日新聞の人生相談を楽しみに読んでいる。今日の内容は、20歳代の女性からのものだ。その答えを読んでいて、この感動を皆さんと共有したいと思ったので、コピーした。「生きるのがおっくう」と言うタイトルの相談内容だ。

 感情を持つのも呼吸をするのも、面倒でなりません。やりたいことや夢もない。全て放棄した結果、今ではわが家のごくつぶしです。世の中には病気で長生きできない方がたくさんいるのに、不謹慎な悩みだと分かっています。2人の弟は有名企業と有名大学におり、彼らの人生と差がついてしまいました。劣等感はあるのですが、行動する気力はおきません。自殺する勇気もない。でも生きるのは面倒。わがままですよね。(24歳・女性)

 あなたは、「ごくつぶし」でも「不謹慎」でも「わがまま」でもありません。ただ、「ふつう」なだけです。じつは、あなたみたいな人、ものすごく多いんです。みんな、口には出さないけれど。わたしもある時期そうでした。何ヶ月も、ただ天井だけ見て過ごすとか。やりたいことが何もなかったので。
 今でも時々そうなります。何をしたって、最後は死んじゃうのだから。かわいい子供がいるじゃないか?しょせん他人じゃありませんか。
この世でいちばん好きな、小説書きをやっているじゃないかって?わたしの書いているものなんか、死んだらすぐに忘れ去られます。何の意味もないことをやっているだけです。
 残念ながら、この問題に根本的な解決策はありません。だって、それは、あらゆる人間がかかる病なのですから。
 そのままでいいじゃないですか。息を吸って吐いて、寝て起きて、壁でも見ている。そのうち年とって死んでしまうから、問題なし。絶望して死んでゆくだけ。それこそ、他の生きものにはできない、人間らしい生き方なのかもしれません。
 一ついいことを教えてさしあげます。人間がみんな突然かかる、もう一つの病があります。「希望」という病です。絶望と同じように、この病にも突然かかります。理由もなくね。かかった瞬間、世界は突然美しくなります。その病にかかられるように心よりお祈りしております。、